1. そもそもあくびってどんな仕組み?
あくびを引き起こすのは、脳内の「視床下部室傍核」という場所が指令を出すからだと考えられています。そこから脳のほかの部位に届いた指令は、口を大きく開いたり、目を閉じたり、腕を伸ばしたりといった様々な反応を起こします。あくびは身体のいろいろな部位の動きが組み合わさった複雑な運動なのです。
2. あくびにはどんな役割や効果があるの?
あくびには脳の状態を変える「スイッチ」のような役割を担っている可能性があります。あくびが出る頻度が過剰である場合は「アラーム」(自分や他者に体内のリスク状況を伝える)的な役割もあるかもしれないとされています。
3. 眠たい時だけじゃない!あくびの種類
あくびは、眠たい時や退屈な時だけに出るものではなく、緊張したときや、筋力トレーニングを行ったときにもあくびが出るという人もいると思います。
人間は緊張したときなど、過度なストレスを感じると、交感神経・副交感神経がバランスを乱すことがあります。自律神経系が乱れると「この状況を変えよう(戻そう)」として、あくびが出現します。さらに、筋力トレーニングを行うと、脳など筋内以外の場所へ流れる血液の量が減少し、酸欠のような状態や身体が過度な緊張状態となり、あくびが出現します。
4. あくびが移るのはなんで?
人のあくびを見たときや、あくびという言葉を聞いたとき、自分もあくびが出たり、出そうになることはありませんか?
人のあくびを見聞きすると自分もつられてあくびをしてしまう現象は「伝染性あくび」と呼ばれているそうですが、実はあくびが移る理由はまだ完全には解明されていません。それでも、「共感性」「ミラーニューロン」「知覚の敏感さ」「社会的な役割」など、いくつかの仮説が検討されています。動画や写真を用いた実験で、一定の割合の人にあくびが移ることが確認されており、人だけでなく、チンパンジーや犬などの社会性の高い動物でも同様の現象が報告されています。
さて、この記事を読んで少し眠たくなってきているのではないでしょうか?あくびが出そうになっていませんか?私はあくびについて調べるとともに、あくびを今すぐ止める方法と、眠気を覚ます方法を東海大学生に取材し、どの方法が効果的なのかを独自に検証してみました。
大学生がやっている!その場でできるあくびを止める、眠気を覚ます方法
まず、東海大学生10人に「あくびを止めたいときに行っている行動はありますか?」と聞いてみました。すると、「息を止めるんですよ」「舌を前歯の裏に押し付けると、止まるって聞いたことがある!」「鼻の下を指で抑えるとめっちゃ止まるよ」など様々な方法を行っていることが分かりました。私は、あくびを自在に出すことができるため、大学の二つの講義中にこれらの方法を実践してみることにしました。
あくびを止める方法(東海大学生10人)
| 方法 | 人数 | 実践結果 | メモ |
|---|---|---|---|
| 深呼吸する | 1人 | × | 深く息を吸うことであくびを誘発してしまう |
| 息を止める | 3人 | 〇 | あくびが出そうな直前に行うと効果あり |
| 舌を前歯の裏に押し付ける | 1人 | △ | あくびが出そうな直前にやるとあくびが止まる時もある |
| 上唇をなめる | 1人 | × | 効果なし |
| 鼻の下を抑える | 4人 | ◎ | あくびが出そうな直前にやると高確率であくびが止まる |
まず、あくびが出そうになった時に深呼吸を行ってみました。しかし、深呼吸をしようとして深く息を吸うことで、さらにあくびを誘発してしまいました。私には深呼吸は効果ありませんでした。
次に、あくびが出る直前に息を止めてみました。あくびを抑えることはできましたが、少し涙目になる感じはあるので、「この人、あくびしたな」とバレてしまう可能性があります。
あくびが出る直前に舌を前歯の裏に押し付ける方法も何回か行ってみました。百発百中ではありませんでしたが、あくびが止まる時もありました。バレにくいのでやってみてもいいかもしれません。
次の講義では、上唇をなめる方法と、鼻の下を抑える方法を実践してみました。上唇をなめる方法は、私は全く効果がありませんでした。しかし、鼻の下を抑える方法は、高確率であくびを止めることができました。あくびを止めたい時は、あくびが出る直前に鼻の下を指で押さえる方法を行ってみると良いと思います。
そして、同じ東海大学生10人に眠気を覚ましたいときに行っている方法も聞いてみました。
眠気を覚ます方法(東海大学生10人)
| 方法 | 人数 | 実践結果 | メモ |
|---|---|---|---|
| 息を止める | 2人 | ◎ | 鼓動を早めることができると効果あり |
| ガムをかむ | 2人 | ◎ | 口を動かしていると気がまぎれる |
| 覚醒成分(カフェラテ)・ブドウ糖(ラムネ)を摂取する | 3人 | △ | 即効性はなし。寝てはいけない時の数十分前に摂取すると良いかも |
| 眠気に効くツボを押す | 2人 | 〇 | 一時的な効果あり。長時間の会議や授業には不向き |
私は、大学の講義中によく居眠りしてしまうことがあるのですが、この検証をするにあたってその特徴が初めて活かされました。その日も教室の後ろの方に座り、講義の中盤、いつも通り睡魔が襲ってきました。まず、数十秒間、息を止めてみました。もう限界というところまで息を止めると、鼓動が早くなり酸素がほしくなるため、たくさん息を吸うようになります。ぼーっとしていた頭がすっきりしたような感覚がありました。思ったより効果的でしたが「この人、様子がおかしい」と周りの人に思われる可能性があるので、要注意です。
次に、回答者が比較的多かったガムをかむ、覚醒成分(カフェラテ)やブドウ糖(ラムネ)を摂取するという方法を行いました。ガムをかむという行為はずっと口を動かしているので、気がまぎれるような感じがあり、効果的でした。しかし、覚醒成分やブドウ糖を摂取する行為は、即効性がなく、私の眠気を覚ますことはできませんでした。どちらも、寝てはいけない時の数十分前に摂取すると効果的かもしれません。
そして、講義の終盤、私の意識と教授の声がだんだん遠ざかっていくのと同時に、「目が覚めるっていうツボがあるらしいよ」と友人が言っていた言葉を思い出しました。すぐさま眠気に効くツボを調べ、自分が今出せる最大限の力を振り絞ってツボを押しました。眠たい時に自分をつねるという方法もよく耳にしますが、それと同じような感覚で、ツボを押される痛みで少し目が覚めたように感じました。しかし、効果は一時的であったため、長時間の講義や、仕事の会議にはあまり向いていないかもしれません。
私の強烈な睡魔をピタッと止める方法はありませんでしたが、息を止める方法には、意外性があり、少し驚きました。人に心配をかけない程度に息を止める方法を実践してみるのが良いかもしれません。
検証結果
あくびを止めるのに効果的だった方法は「鼻の下を抑える」「息を止める」の2つ、眠気を覚ますのに効果的だった方法は「息を止める」「ガムをかむ」「眠気に効くツボを押す」の3つでした。
今回の検証を通して、あくびは「こういうものだ」と一言では説明できない、まだ多くの謎に包まれた現象だということが分かりました。だからこそ、人によって知っていることや眠気の対策が異なり、身近な現象でありながら奥深い存在なのだと感じました。眠たいなと思ったときには、ぜひこの記事を思い出してみてください。あなたのあくびにも、何か意味が隠れているかもしれません。
取材協力・参考文献
東海大学 学生の皆さん
1)学研キッズネット「何のためにあくびは出るの?」科学なぜなぜ110番
2)Medical DOC(メディカルドック)「あくびがうつる理由」はご存知ですか?うつりやすい人の特徴も医師が解説!
3)note「あくびがうつる理由と脳の共感機能」Dr.Y